さよなら妖精

さよなら妖精 (創元推理文庫)

さよなら妖精 (創元推理文庫)

1991年4月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。覗き込んでくる目、カールがかった黒髪、白い首筋、『哲学的意味がありますか?』、そして紫陽花。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。

この本を買ったのは高2の夏休みだったはず。予備校に行ったけどいまいち勉強する気になれず、近くの近鉄で買ってそのまま家に帰って積んだ本。
去年の暮れくらいからちょくちょく読み始めて今日やっと読み終わった。
ちなみに、僕が好んで読む小説はこの本の作者米澤穂信森見登美彦の作品。
で、米澤穂信が書く小説はミステリ。「日常の謎」派と呼ばれているらしい作風。「日常の謎」はこの本でいうと例えば、墓見学にマーヤを連れて行く場面で

誰かが参ったらしい。墓には花が添えられ、供え物が置いてある。
赤が映えるサルビア。そして、紅白饅頭
「……は?」

……は?謎ですね〜
この後、登場人物の一人が、この場所を離れた方がいい、といったことを言います。これも謎と言えば謎
こういったのが「日常の謎」ですかねー
そして、主人公がこの謎を解く。解くというよりは解釈すると言った方が正しいかな。推理が確実に正しいって言い切れないときもあるはずなので

あと、この人の作品の読みどころは、日常の謎、とは別にもう一つ、登場人物の生き方や主義・信条について掘り下げて書いてあるところだと思います。
そして、ぼくは日常の謎よりこっちの方に魅かれてます。読んでて、こいつなんか恥ずかしいこと言ってるなー、って思うときも間々あるけども

前置きが長くなったけど、古典部シリーズや小市民シリーズ*1と比べると、正直この本自体は上であげた二つの読みどころが微妙だったかなあ。と思う
ただ、この作品から醸し出される「藤柴」の雰囲気は大好き。
それに、主人公が弓道の試合で射る場面の描写は素晴らしかった。水泳のレース直前の緊迫感以上のものを感じさせられて手に汗に握ったよ、ほんと

ま、読んで損はない!はず!

*1:共に米澤穂信のシリーズ物の作品